幸せな日




今日11月28日はズバリ俺 菊丸英二の誕生日。

毎年誕生日を迎えるけど、今年の誕生日は ちょっと事情が違う。

何が違うって・・・・・・それは愛する恋人がいるって事♡

恋人がいると誕生日って一大イベント!

大好きな人からプレゼントもらうのって多分超嬉しいはず。

手塚、俺に何くれるのかにゃ~?楽しみ!





「英二誕生日おめでとう。これプレゼント」

1時間目の休み時間に穏やかな笑顔で現れたのは不二だった。

なーんだ不二かぁ・・・・。

はっ!ダメダメ!ガッカリしたら不二に失礼じゃん。こうして1番にプレゼント届けてくれたのに。

「ありがとう、不二♡」

「絆創膏なんだ。いろんな模様の。たまにはほっぺの絆創膏もオシャレした方がいいん

 じゃないかと思って」

「・・・・・あ、そう?へへへ・・・ありがとう」

不二って発想が少し変・・・・じゃなくて変わってておもしろいにゃ。

でもありがと。不二



「英二誕生日おめでとう。これプレゼント」

2時間目の休み時間に さわやかな笑顔で現れたのは大石だった。

なーんだ大石かぁ・・・・。

はっ!!ダメ③!!  ガッカリしたら大石に失礼じゃん。こうして2番目にプレゼント届けてくれたのに。

「ありがとう、大石♡」

「誕生日ベアーのストラップなんだ。英二それ欲しいって言ってただろ?」

「うん!どこ探しても売り切れちゃっててなかったのに・・・。ありがとう大石」

大石って律儀だなぁ。俺が言った事覚えててわざわざ探してくれたんだろうにゃ。

大石ありがと!



「英二先輩、ハッピーバースデー!これプレゼントッス」

3時間目の休み時間に元気な笑顔で現れたのは桃だった。

なーんだ桃かぁ・・・。

はっ!!!ダメ④!!!ガッカリしたら桃に失礼じゃん!こうして3番目にプレゼント届けてくれたのに。

「ありがとう、桃♡」

「これ レストランの食事半額券ッス!英二先輩ここのレストランのエビフライが好きっ 

 て言ってたじゃないッスか。だから母親の友人から仕入れてもらったんスよ」

「おぉぉ~サンキュー♡気が利くなー桃!」

――――・・・・・半額って微妙だけど・・・でも嬉しいにゃ。

ありがと、桃!



――― その後も 海堂と乾から紅白クマのぬいぐるみ(今しか手に入らない限定品)

タカさんから寿司無料券、おチビからは銘店のお菓子・・・・次々プレゼントをもらった。



でも肝心の手塚からはプレゼントをもらってない・・・・・・。



部活の時間になっても手塚はいつも通り平常心で練習に取り組んでいる。

・・・ひょっとして手塚俺の誕生日忘れてる?!

ムカッ!!

だとしたら腹が立つ・・・みんなはちゃんと覚えててくれたのに。

よりによって恋人の誕生日を忘れるなんて。手塚のバカタレ!

くそ~~思い出させてやる~~~~!!



「・・・丸・・・菊丸!!」

はっっ!!

「聞こえなかったのか菊丸。気が抜けているようだな。グランド20周!!」

「え~~っ!そりゃないよ手塚~!」

「30周!!」

・・・・チクショー!!!誰のせいで気が抜けたと思ってんだよ。

手塚の鬼!悪魔!スカポンタン!恋人の誕生日を忘れたあげく、グランド30周もさせる

なんて~~!



―――― 俺の気分は最悪だった。

部活終了後、みんなは俺の不機嫌オーラを察知したのか、あまり話しかけずに顔色を伺うようにして帰って行った。

俺は部室に一人残り、竜崎先生と話をしている手塚の帰りを待った。

そして待っている間に今日もらったプレゼントをテーブルに広げた。

・・・・名付けて「このプレゼント達を手塚に見せつけて、今日が俺の誕生日だって事を思い出させてやるにゃ」作戦。

俺の誕生日を思い出した手塚は何て言うかな?

忘れてた罰としてプレゼントはディズニーランドに連れてってもらおうかにゃ?

だって手塚だけが忘れてたんだから、それくらい望んだって許されると思うし。

でも・・・・よく考えてみたら・・・・。

手塚だけ俺の誕生日忘れてたんだよなぁ。

恋人なのに。

ひょっとして手塚にとって俺はどうでもいい存在なのかも。

うわー!何だか悲しくなってきた!

やっぱり「このプレゼント達を手塚に見せつけて、今日が俺の誕生日だって事を思い出させてやるにゃ」作戦はやめようかな・・・・・。

こんな事やってもむなしいだけだよ。多分。

無理矢理プレゼントもらっても嬉しくないし。



テーブルいっぱいに広げたプレゼントを片付けようとした時、手塚が部室に戻って来た。

あわゎゎゎ!まずい!どうしよう!!

「て・・・手塚お帰り。先生との話、終った?一緒に帰ろうと思って待ってたんだー」

言いながら俺は慌ててプレゼントを片付けた。

手塚は俺の怪しい行動に気付く様子もなく制服に着替え始めた。

そしてその後ふいに小さな包みを俺に渡してきた。

「遅くなったが誕生日プレゼントだ」

「・・・え?手塚・・・覚えててくれたの?」

「忘れてると思ったのか?」

「・・・うん・・・」

「まわりの奴がいなくなってからプレゼントを渡そうと思ってたらこの時間に

なっただけだ」

「うん、ごめん・・・・ありがとう」

そうだ・・・・・そうだよ。手塚が俺の誕生日忘れるはずないんだ!

バカだなぁ、俺。まだまだ手塚の事わかってないのは俺の方なんだ。

勝手に一人でいろんな事思い込んで・・・・ごめんね手塚。

「手塚これ開けてみてもいい?」

「あぁ」

包みを開けるとヘアブラシが入っていた。

「この前ブラシが壊れて使えなくなったって言ってただろう?だから・・・・」

手塚の話が終ってないのに俺は手塚に抱きついた。

「菊丸?!」

「手塚が俺の事考えて選んでくれたって思っただけで何だかすごく嬉しくて・・・

 ありがと、手塚。大切にするね」

手塚は優しく俺の頭をなでてくれた。

「手塚・・・・大好き」



その後、俺たちは手をつないでゆっくり歩いて帰った。

こうして一緒にいられるだけで幸せ。

ずっとこの幸せが続きますように。

そして今日学んだ事・・・・

それは 大好きな人からのプレゼントは最後にもらうとすっごく嬉しい って事!

・・・・来年の手塚の誕生日は忘れたフリして最後にプレゼント渡そうかな?

その時手塚はどんな顔をするのかな?

「何ニヤついているんだ菊丸」

「ん?内緒!」



今年の誕生日は正真正銘のHappy Birthday。

幸せな誕生日―――







あとがき
川瀬です。
祝!菊丸バースデー!
いいなー手塚と手をつないで歩けるなんて。
菊丸うらやましい。私も手塚と手をつなぎたーーい!
・・・・って自分の作品に客観的なコメントするなー(一人ツッコミ)