夏祭り
夏休みを利用して菊丸と手塚は田舎暮らしをしている菊丸の祖父母のところに遊びに来ていた。
東京とは違い自然豊かで空気も澄んでいる。
「ねぇ夏祭り行くの楽しみだねぇ」
「こっちに来てから遊ぶ事ばかりだな・・・・・・」
「夏休みだもん楽しまなくちゃ。それに朝はこうやって宿題やってるし」
「オレのを写しているだけじゃないのか?」
「い~のい~の!テストは終ってるんだしさぁ。それに2人っきりだもんいっぱ~い手塚に甘えないとねぇ♡」
菊丸が笑顔でそんな事を言ったら勝てるハズもなく。思わず口付けしてしまう。
「菊丸・・・・・・・」
「・・・・・んっ・・・・ぁっ」
菊丸の甘い声がセミの鳴き声にかき消される。
「あっつぅぅ~汗でベタベタついでに手塚のでベタベタ」
「・・・・・」
「てかぁ。ばーちゃん達帰ってきたらど~すんのさぁ手塚のエッチ♡」
「今朝、今日は夏祭りの役員で終るまで帰らないと言っていた」
「・・・・・・・・確信犯だったんだ」
「・・・・そうだな」
そう言うとまた菊丸の汗ばんだ首筋をペロリと舐めた
「ぁんっ・・・・・も~ぅ!!手塚のバカァ」
「わーい手塚ぁ早く早くぅ」
「慌てるな・・・・・」
ウキウキ気分の菊丸にヤレヤレと思う手塚の姿か微笑ましい。
「わたあめと~チョコバナナ♡今日はめいっぱい・・・・・え?」
「どうしたんだ?菊丸」
菊丸は何か嫌な感じがして足を止めた
「うん・・・・何か急に寒気がして・・・・って」
「風邪か?熱でもあるんではないのか」
心配そうに手塚が菊丸の額に自分の額を当てようとした
「う゛わ゛ ―――――っ×ξ※фπю!!」
声にならない声。
「落ち着け菊丸どうしたんだ」
「どうしたじゃないよ!!ドコでそんなもん拾ってきたんだよぉぉ」
「は?何を言ってる」
「う゛わ゛ ―――――っ近づかないでぇぇぇ」
「き・・・菊丸」
菊丸の言葉に胸が締め付けられた。手塚は今にも泣きそうだった。
「違う!!手塚じゃなくて手塚に憑いてる女の子 ―――――」
半泣きの菊丸だが手塚には何がなんだかサッパリ分からないでいた。
どうやら手塚に女の子の霊がとり憑いているようだった。
「わーん不二ぃどうにかしてよぉ」
その場で携帯をとり不二に電話をし、助けを求める菊丸。
『どうしたの英二?田舎で手塚とラブラブ婚前旅行じゃなかったの?』
「うえぇぇぇぇん。だって手塚に幽霊がとり憑いちゃったんだもん不二お払いしてよぉぉ」
『ムリ言わないでよ!ボクは霊媒師じゃないんだから』
「・・・・・・じゃぁこの幽霊に命令してよあの世に帰れって」
『英二・・・?ボクの事何だと思ってるんだい?そんな事できる訳ないだろ成仏できるようその子に直接聞いてごらん。こっちもね別荘で2人きりなんだ!邪魔しないでよね。切るからね』
ブチ!
「不二ぃぃ・・・・」
携帯をポケットにしまい手塚を見つめる。
相変わらず手塚にはその子が見えても感じてもいないようだ。
「手塚・・・・身体なんともない?肩重くない?」
「大丈夫だ・・・・すまない菊丸」
「手塚が謝る事ないよ。ねぇキミ手塚から離れてよ」
『・・・・・イヤ。だってこの人と夏祭り行きたいもの』
「オレだって手塚との夏祭り楽しみにしてたんだ・・・・そんな事言ってないで成仏しろよな」
「菊丸・・・・・オレにはその子の姿も声も聞こえないが夏祭り一緒に行っても良いのではないか?」
「手塚の横にその子がいるのを見るのがイヤなんだもん怖いし」
口を尖らせプクっと頬を膨らませた。
『私もこの人と2人きりが良いいわ』
「何わがまま言ってんのさ手塚はオレの ―――――あ゛」
「菊丸?大丈夫か?菊丸?」
菊丸の意識がなくなり手塚に抱きかかえられた。
「菊丸!!」
「・・・あぁ嬉しい好きな人の腕の中」
目を覚ました菊丸は手塚の胸に顔を埋めウットリしている。
「え?ぁ・・・さぁ夏祭りに行こうか」
「うん♡い~っぱい楽しもうね」
満面の笑み。
太鼓の音や笛の音色も聞こえてくる。左右には水ヨーヨーお好み焼きに射的と屋台がたくさん並んでいた。ドコに一番に行くかキョロキョロと見渡していた。
この人混みでお互いはぐれないようしっかりと手を繋いで。
「「はぐれてしまったら菊丸が誰に連れて行かれるか・・・・」」
手塚が心配するのも無理はない。華奢で筋肉のつき方もまだ男子には見えず、ボーイッシュなカワイイ女の子に見える菊丸。すれ違う男が振り返ってこの無防備な菊丸を見てる。
りんご飴を美味しそうに舐めながら次の屋台を探している。
「ねぇ金魚が欲しい」
手塚の手をグイグイ引っ張り走り出した。目的の金魚すくいの屋台。
「ほぃ兄ちゃん可愛い彼女にとってやんなよ」
手塚は頬を紅らめ金魚に目をやった
「いやだぁおじさんカワイイなんて♡」
「・・・・どれがいい?好きなのをとってやるぞ」
「んじゃこの黒出目金とこの赤い尻尾が長いヤツ」
ニッコリ微笑みリクエストの金魚2匹をなんなく掬い取った。
金魚を袋に入れてもらって菊丸ははしゃいでいた。
「ねね次はねぇ・・・・・」
まるで子供のように楽しんでいる菊丸を手塚は愛おしく見つめる。
「菊丸・・・・少し人混みから出ないか?」
「え?うん良いけど・・・・」
まだ遊びたりない様子の菊丸に比べ人混みの苦手な手塚はグッタリしていた
境内の階段に腰を下ろすとフゥと深呼吸。
「すまないな菊丸せっかく楽しんでるのに」
「ううんゴメン疲れた?」
「・・・・いつもだったら・・・・ぁいやすまない菊丸のその笑顔で癒される・・・隣に座ってくれないのか?」
左手を差し伸べ隣に座らせると菊丸の肩を抱いた
「え・・・あの・・・あの・・・・」
「菊丸・・・・栄養補給・・・・」
そう言って優しく菊丸の唇に自分のを重ねた。そして深く口付ける。
菊丸の口を開かせ舌を絡めとる ―――――。
甘いりんご飴の味。
『あ・・・ぃゃまだ成仏したくない・・・・・』
「んーっ」
肩を押しのけ手塚から無理やり離れた
「ちょ ――――手塚何外でしかも人前でのーこーなちゅ~してんのさ」
「菊丸?え・・・・」
「しかもりんご飴の味。オレ食べてないのにずるいぞ一人で!あぁぁぁしかも金魚すくいまでしてる。も~ぅ手塚のバカバカバカ」
とうとう菊丸は泣き出してしまった。
「何を言っているんだ今まで一緒に散々歩き回っていたではないか」
「え?・・・・・・あっさっきの幽霊がいない」
「幽霊?あぁぁオレに憑いていたっていう?」
「わーんオレにとり憑いて手塚とデートしたんだぁ手塚の浮気者~」
言いがかりである
「菊丸。祭りはまだ終ってない。これから2人で楽しもう」
「うっ。え゛っぐ。つーか何でオレじゃないって気付かないんだよ」
その通り。
「お、おかしいとは思ったんだ。でも・・・その・・・楽しそうで・・・すまなかった」
手塚の動揺した姿があまりにも可愛くて思わず噴出してしまった。
「うん・・・いいょもう。それにあの子手塚(好きな人)と夏祭りに来れて成仏できたんだと思う」
「そうだな・・・・さぁ夏祭りを楽しもう今度こそ2人で」
「うん♡じゃぁねオレ綿飴食べたい」
「よしその綿飴を食べた菊丸をオレは食べるとしよう」
「バカ!手塚のエッチ!!」
2人の思い出の夏祭りが始まる ―――――。
あとがき
本当は夏=怪談でもっとシリアスな幽霊話だった。
でも途中から変わってしまったんです。
しかもこの話の手塚手ェ出しまくりのかなりスケベ化してるし。
壊れてる私
il||li _| ̄|○ il||li
2009.08.01