HERO
キーンコーンカーンコーン・・・
授業終了のベル。
今年三年生になった菊丸は親友の不二と同じクラスの三年六組。
「不二ー早く部活行こう」
授業中とは打って変わって、菊丸の目はキラキラと輝いていた。
「その前にやらなきゃいけない事があるでしょ」
菊丸の顔が曇る・・・
そう。部活の前に掃除というものがあるのだ。
「にゃー…早くテニスしたいぃ」
「はいはい…じゃ口を動かす前に手を動かそうね。はいこれ・・・」
ニコニコと微笑みながら不二が菊丸に掃除道具を渡した。
渋々掃除を始める菊丸の姿を不二は満面の笑みで見つめていた。
掃除が終わり、不二と部室に行く途中、大石と手塚の姿を見つけた菊丸は駆け出し、二人の間に割って入った。・・・・と言うより二人の腕に絡み付いた。
「大〜石っ!手塚!一緒行こう!」
「バカ!英二危ない」
二人の前には降りの階段・・・
勢いが強すぎて菊丸は階段から落ちそうになった。
「菊丸!」
それを助けようと手塚が菊丸を抱き寄せるが、バランスを崩し二人共階段から落ちてしまった。
「英二!手塚!」
不二と大石の声が響き渡る。
「・・・二人共何処に消えたんだ?」
「手塚は良いとして英二は何処行っちゃったんだよ・・・」
「そんな事言って、不二の下僕達が英二を魔界に連れ去ったんじゃないのか?」
「大石・・・この非常時にバカな冗談やめてくれる・・・つーかどさくさに紛れて僕にそんな事言った事後で後悔させてやるから覚悟しておいてよね」
「・・・・コリャタイヘン」
大石は心の中で呟いた。
階段から落ちた手塚と菊丸は忽然と姿を消してしまった。まるで亜空間に落ちたように・・・・・・
「手塚なんて戻って来なくて良いから…神様お願い…僕の英二を返して下さい」
「手塚が戻らなくて良いなんて…」
「何偽善者ぶってんの?手塚が戻らなかったら、部長の座は自分のモノって思ってるくせに」
忽然と消えた手塚と菊丸の心配を他所に不二と大石は馬鹿なやり取りを延々と続けていた…
その頃手塚と菊丸の二人はお互い別の場所へと来ていた。
「手塚ぁ・・・何処行っちゃったんだよー」
辺りを見渡しても草木も生えてない砂漠が広がっていた・・・・
まったく知らない場所で一人、菊丸は心細くなり涙目になっていた。
「どっち行って良いか分かんないよぉ」
宛もなく歩き続ける菊丸の前に、まるでRPGから出てきたような生き物が現れた。
「うっそ…何このFFに出てくるゴブリンみたいなの・・・・」
呆気に取られる菊丸を余所に、そのゴブリン達は菊丸を取り囲んだ。
「冗談っしょ・・・・素手で闘えないっつーの!逃げるが勝ち!」
逃げようとする菊丸だったが、砂に足を取られ持ち前の瞬発力が出ずになかなか振り切れないでいた。
それ以上に、ゴブリン達も必要以上に菊丸を追いかけてきた。
「しつこーい!!にゃんなんだよぉ!もう!」
温かいな…そして柔らかい・・・・・・菊丸?あぁ菊丸は無事だったのか?
「目が覚めましたか?」
「菊丸・・・・良かった無事だったんだな」
手塚はベッドから起き上がると、自分に引き寄せ強く抱きしめた。
「キャッ」
「…え?菊…丸じゃない・・・では菊丸は?!」
菊丸に似たその女性は手塚に抱きしめられたからか…ほんのり頬を赤らめて俯いていた。
「・・・・・ここは青学の保健室・・・?」
辺りを見て何か違和感を覚えながら手塚はトンチンカンな事を聞いてしまったと、ガラにもなく赤面している自分にまた恥ずかしさが込み上げてきた。
「貴方はセイガクという国から来たのですね・・・きっと長い旅だったのでしょうね聞いたことのない国だもの・・・・ゆっくり休んでいって下さい」
どうにかココは今まで自分たちがいた青春学園・・・・いや自分たちがいた世界とは別世界と言うことを理解した手塚は小さくため息をついて立ち上がった。
「世話をかけてしっまって・・・ありがとうございます・・・・連れを探さなければいけないのでこれで失礼させて頂きます」
「・・・・そんな!行かないで下さい・・・あの・・・いえ・・・」
そう言って手塚の腕を引くその女性は菊丸に瓜二つ。
大きな潤んだ瞳に、ほんのりと淡い紅い唇!
そんな顔で・・・そんな瞳で「行かないで」は反則である。
そう。手塚は菊丸の事を誰よりも好きだったから・・・・・
勿論この事は菊丸は知らない。知られてはいけないと自分でも思っている。
手塚はこの菊丸に似た女性を一瞬菊丸に重ねて、抱きしめそうになった・・・が、どうにか理性を保ちいつもの自分を取り戻す。
「ハァ・・・ハァ・・・もう駄目だよぉ」
菊丸は幾度となくゲームの中で言う魔物に遭遇し、それから逃げて来ていた。
そのため菊丸の体力はもう限界に達していた。
「この次・・・何か出てきたら絶対逃げられない…確率100%にゃぁ」
そんなことを思いながらトボトボ歩いていると、数メートル先に、菊丸に向かって走ってくる人影が見えた。
「人・・・・だよね」
もう、目の前が朦朧として意識を失う刹那・・・・・
「姫!」
倒れかけた菊丸を受け止めようと駆け寄ってきたその人物は手を差し伸べた。
バサッ
翼の羽ばたいた音が微かに聞こえた気がしてフワッと身体が軽くなりそのまま菊丸は意識を失った。
手塚はこの国の姫-エーヂェ-に案内をされ中庭を並んで歩いていた。これが菊丸だったらどれだけ幸せか。そう思いながらも手塚はエーヂェを菊丸と重ねて見ていた。
「ねぇテヅカ・・・貴方の国の事をもっと沢山聞かせてちょうだい・・・・そのテニスって一体どんな
武術なの?」
「イヤ・・・テニスは・・・・そんな事よりエーヂェ、もう本当に行かなくては……菊丸を探し、元の世界に帰らねばならない」
「……テヅカ」
悲しそうに目を伏せるエーヂェに逆らえるはずもなく、手塚はさっきから同じ事を繰り返している。菊丸を探しに行かなければいけないのに、この菊丸に瓜二つの顔で悲しい顔をされては、それを振り切って城を出て行くことが出来ない。
深くため息をつき眉間に皺を寄せた。
と、その時、城の中がざわめきだしたのに気付き手塚はエーヂェの手を引き城の中に戻った。
「姫!ご無事ですか?!」
城に仕えている者達が青ざめた顔でエーヂェの周りに集まってきた。
「…?何をそんなに慌てているのですか」
「姫・・・!良かったご無事だったのですね。目の前でガーゴイルに連れ去られてしまった時には・・・・」
「ガーゴイル?私はずっとこのテヅカと一緒に城にいました・・・」
「・・・・」
手塚はその連れ去られた人物が菊丸だと確信した。戻ってきた騎士に菊丸が何処に連れて行かれたかを聞き出そうと手塚は詰め寄った。
菊丸が連れ去られた方角の空を仰ぎ、手塚は意を決したように城を出ようとした。
「お待ち下さい!テヅカの連れの方は騎士達に捜索させます。行かないで!」
エーヂェが手塚を引き止める。
・・・が、今回ばかりは手塚もその手を振り払うことが出来た。菊丸の居場所が分った以上・・・連れ去られたと分った以上、自分が菊丸を助け出したいと思ったから。菊丸に似てるが菊丸ではないエーヂェ。
先程まで菊丸に重ねて見ていた事を胸の内で謝罪し、手塚はエーヂェの手を取った。
「すまないエーヂェ・・・菊丸を助けに行かなければ・・・俺が行かなければいけない」
エーヂェの手を離すと手塚はクルリと後ろを向いた。
城の門まで来ると後ろから手塚を呼び止めるエーヂェの声がした。
「テヅカ待ってください。コレを・・・何も武器を持たずに城を出るなんて・・・この国に伝わる騎士の剣です。伝説ではこの剣で勇者は魔王を倒しました。だからテヅカもこの剣で復活した魔王を倒し、封印して下さい。きっと貴方なら使いこなせると私は信じています。そして必ず戻って来て下さいね」
「ありがとうエーヂェ・・・」
伝説の剣の他にも、防具などの装備も整えてくれた。
自分でも恥ずかしくなるような、ゲーム好きの菊丸が見たら喜びそうな・・・・そんな格好になった手塚は菊丸を助けに行くべく歩き出した。
「姫・・・良いのですか?魔王を封印するには剣と宝玉が必要なのですよ」
「数年前に私の元から消えてしまった緑の宝玉はきっとまた私の元に戻ってくる・・・そう信じています
そうしたら私がテヅカの後を追い、二人で魔王を封印します・・・そう二人で・・・」
城を出て一週間は過ぎようとしていた。
目の前に広がる暗黒の闇に包まれたその森の中に、菊丸が連れ去られた城らしきものがぼんやりと見えていた。
「菊丸・・・・今行く!」
手塚は意を決して森の中に入っていった。
シ・・・・ンと静まり返った森の中は、ひんやりと肌寒く濃い霧が辺り一帯に広がり、手塚の足音だけが木々にぶつかり木霊しているかにも思えた。
しばらく行くと大きな洞窟の入り口にたどり着き、中からは邪悪な気が溢れ、さすがの手塚も立ち止まり息を呑んだ。
中に入るや否や魔物が次々と現れるが、ここに来るまでに手塚も幾度となく戦闘を繰り返し、並みの相手では太刀打ちできないまでに剣の腕は上達していた。
戦闘を繰り返しながらも確実に菊丸に近づいているのが手塚には分った。
洞窟を出るともうすぐ目の前に城が聳え立っている。
大きな扉の前に立ち、それを見上げた。
渾身の力を込め扉を押し開けて中に入っていく。中は思ったより明るかった。
「ここに菊丸は絶対にいる・・・」
そう確信し、一部屋ずつ扉を開けていった。
何の手がかりもない為そうするしかないが、もしここに菊丸がいたらゲームと重ね、「ゲームだったらココ」とすぐにでもその扉を開いてしまうのだろうな・・・と手塚は思っていた。
階段を下り、地下に向かうと微かだが鼻をすする音が聞こえてきた。
「菊丸!?」
音がした方に走り出し、菊丸を呼んだ。
「!?手塚・・・・手塚ぁぁぁ」
「菊丸無事か?」
「手塚・・・よかったぁぁ俺もう手塚に会えないって思ってたよぉ」
ポロポロと涙を零し菊丸は手塚にしがみついた。
「菊丸さぁここから出よう・・・」
「うん・・・・ね、手塚、俺の事助けに来てくれたの?」
「勿論だ・・・・俺以外誰が菊丸を助けるというんだ」
「その格好・・・勇者みたいでカッコイイv」
「っ!?こんな時に何を言っている」
まさか菊丸にそんな事を言われようとは考えてもいなかったから手塚は冷静を保つのに必死だった。
「だって・・・・本当にカッコイイv何かさ、俺たち別の世界に来ちゃったみたいだよね。まるでRPGの世界だよね。変な魔物もたくさんいるしさ。俺は逃げてばっかでただの村人Aって感じだけど手塚は本当勇者みたいでカッコイイよ。しかも結構LVupしてるっしょ?見れば分るにゃ」
屈託のない笑顔に癒され、今まで戦闘続きで疲れきっていた手塚だったが、その疲れも癒された・・・そんな気がした。
「菊丸は村人Aなんかじゃないぞ・・・・捕らわれの身の姫君だ」
「・・・・・手塚ってば今物凄いこと言ってくれちゃったねv俺すっげー嬉しい手塚は俺の勇者様だ!」
「と・・・とにかく早くここを出よう」
手塚が菊丸の手を握り、元来た道を戻っていく。
途中何度も魔物に出会ったが、菊丸を守りながら手塚が全て倒し先に進むことができていた・・・が、
もうすぐ城の出口というところで、物凄い邪悪な気が二人を包み、闇の世界へと誘った。
一筋の光もない闇の中、菊丸をしっかりと抱きしめ、手塚は伝説の剣を握り締めた。
「手塚・・・俺ちょっと怖いかも・・・」
「大丈夫だ。俺がついている」
抱きしめる手に力がこもり、菊丸も手塚の胸元に顔を埋めた。
邪悪な気が微かに動いたその瞬間、闇の中から声が響き渡った。
「「姫よ・・・さあその石を使え!我を完全に復活させよ」」
「にゃに?石?そんにゃの手塚持ってる?それにお前に姫なんて言われても嬉しくにゃい!」
「姫?やはりエーヂェと間違えて・・・」
「石なんて俺たち持ってにゃい・・・・にゃぁぁ??」
菊丸は自分の胸元に何か温かいものを感じ、そっと胸元に目をやった。首から下がった小さな巾着から溢れる緑色の光は菊丸と手塚を優しく包み込んだ。
「・・・うそ・・・これがぁぁぁ?」
「菊丸・・・その中身は?」
「違う!違う!違う!!コレ絶対ちがーう!」
「菊丸落ち着け!」
「「さぁこっちへ来て石の力を開放しろ!それが出来るのは石を持っているお前だけだ」」
菊丸が闇に捕まれ声のする方へ連れて行かれた。
「離せー俺はそんな事できにゃーい!コレだってそんな力持ってにゃいぃぃ」
「菊丸を離せ!」
剣を振りかざし菊丸を掴んだ魔王の腕に切りつけた。
「手塚ぁぁ」
魔王の手から落ちた菊丸を抱きとめ、しっかりと抱きしめた。
「菊丸・・・・聞いてくれ」
「にゃに?」
「この剣を俺に預けてくれた人が言っていた・・・この剣は魔王を封印できると・・・菊丸も手伝ってくれ
きっと二人ならアイツを倒す事ができる。完全に復活するその前に・・・・」
「手塚・・・・俺何もできにゃいよ。ここまでだって手塚に守られてきたんだもの」
「傍にいてくれるだけでいい・・・・願ってくれてるだけでいい・・・気持ちを一つにしたいんだ」
優しく頬を手で包む手塚に菊丸は何も言わずに頷いた。
刹那・・・・菊丸の胸にしまわれていた緑の宝玉が飛び出し、二人の間に浮かんだ。
「この石は・・・・」
「手塚・・・見たことあるの?」
「この石は俺が幼い頃・・・・いつも一緒にいたコに渡したものだ」
「・・・・うっそ?これいつも一緒に遊んでたコに貰った物だよ」
宝玉は頭上に浮き上がると強い光を放ち砕け散り光となって剣に宿った。
神々しい光の剣となった剣を手塚は強く握り締め、菊丸はその手にそっと自分の手を添えた。
「「小賢しいムシケラ共め闇の業火に焼かれて死ぬがいい!!」」
炎と化した闇が二人に襲いかかるが剣の光に闇は消えていた。
「う・・・ん」
「菊丸・・・気がついたか?」
「手塚・・・魔王は?」
「見ての通り完全に消えてしまったらしい」
「クスクス・・・やっぱり手塚勇者だったんだにゃ・・・ラスボス倒しちゃうんだもん」
「菊丸はやっぱり姫君だっただろう?最後に菊丸の言う勇者に最大の力を与えた・・・」
「俺本当にお姫様にゃんだ・・・クス」
「さぁ行こう・・・この剣を返さなければ」
そう言って手塚が立ち上がり歩き出した。その後に菊丸も続く・・・・
魔王が倒され世界から魔物も消えたようだった。
城に着き、手塚と一緒に王の間に通された菊丸は、そこにいたエーヂェを見て驚きを隠せずにいた。勿論それはエーヂェも一緒だった。
“この方と間違えて私を抱きしめた・・・・”
チクリと胸の奥に痛みを感じた。
“にゃんだ・・・本物のお姫様・・・いるじゃんRPGで最後は勇者とお姫様はくっ付くんだぞ”
涙が零れそうになるのをこらえて菊丸は俯いた。
「う・・・後ろにいる方がテヅカが探していた方なのですね・・・」
「はい・・・無事助け出す事ができました。魔王も倒す事ができたしこの剣を返しにきました。ありがとう」
「魔王を倒した・・・?だって魔王を完全に封印するには緑の宝玉と二人の!!」
二人の愛が無ければならない・・・・と言いかけ、エーヂェは言葉を止めた。きっと宝玉は自らの意思で自分を離れ、この方の元へ行ったのだろうと思ったから。
「行くのですねテヅカ・・・わざわざ剣を返しに来てくれてありがとう・・・そして魔王を倒してくれて・・・・」
エーヂェの目から大粒の涙が零れていた。
「では・・・失礼します。行こう菊丸」
「手塚・・・手塚ここに残んなよ・・・ゲームではね勇者とお姫様は最後ラブラブで終わるんだにゃ!」
「・・・・では俺と菊丸は結ばれる運命だな」
普段見せないような、まるで不二の笑顔の様に手塚が微笑んだ。
「バカ手塚!お姫様はエーヂェだろ」
クルリと手塚に背を向け走り出す菊丸を手塚は追いかけた。
やっとの思いで追いつき菊丸の腕を掴んだその時、城の階段から再び二人で転がり落ちた。
「英二が戻ってきたぁ!!」
不二に抱きしめられ菊丸はキョトンとしていた
「・・・・元の世界?不二?大石・・・良かったぁぁ」
「本当良かった・・・・神様有難う僕の英二を返してくれて」
「手塚は?ねぇ不二手塚は?」
「え?手塚?」
「いい加減俺の上から降りてもらおうか不二・・・」
菊丸と不二の下から手塚の声がした。
「しかも聞き捨てならないな僕の英二だって?」
「何?文句あるの?」
手塚と不二の間に座っている菊丸を他所に二人は険悪ムード。そんな事もお構い無しに菊丸が笑って言った。
「ねぇ不二小さい頃よく三人で一緒に遊んでたのって手塚だったんだ。俺今まで気づかなかったにゃ」
「フン!知ってたよ。こんな仏頂面他にいないもの。何で英二も分っちゃったの?」
「だってね・・・・」
「つーか何?手塚のその格好・・・あはは今からコスプレ大会にでも行くつもり?写メに撮っておこう」
「・・・胃が痛い・・・」
「/////////!!」
何も言えなくなった手塚の手を引き、放課後誰もいない教室に連れて入った菊丸は、そこに手塚を置いて部室に走りレギュラージャージを持って手塚のいる教室へと戻って行った。
「その格好もカッコイイけど・・・ココじゃね」
苦笑いを浮かべながらジャージを手塚に渡した。
「ねぇ手塚・・・エーヂェは手塚の事が好きだったよ絶対」
「勇者と姫はラブラブで終わるのだろう?」
「だから残れば良かったのに!」
「本当にそう思っているのか?俺は言ったハズだ菊丸が姫だと」
手塚は手を伸ばし菊丸の顔にそっと触れた。
「手塚・・・・俺がお姫様でいいの?」
「菊丸が姫でなければ困る・・・」
菊丸の頭を自分の肩に抱き寄せこめかみにキスをした。驚いた菊丸が身体を小さく蹲めゆっくり手塚を見上げそっと瞳を閉じる。閉じた瞳からも零れる熱い雫をペロッと一舐めしてから菊丸の唇に自分のそれを重ねた。
同じ階にある音楽室から聞こえるピアノの奏がRPGのエンディングに菊丸は聞こえていた。
片桐様へ
祝1000HIT!もうこんな話で御免なさい・・・・
ストーリーも飛ばし飛ばしで単調になってしまって・・・
こんなヘボ物語でよろしかったらお持ち帰り下さい。
そして今日2月20日がお誕生日だそうで・・・
おめでとうございます。